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FDE検定とは|2つの検定の中身と、今できる準備

FDE検定とは何か。IoT検定制度委員会のFDE検定(Level 1は受験料19,800円、60分・100問の予定)と、日本FDE協会のFDE検定(5級〜1級)の中身を公式ページで確かめ、受ける意味と今できる準備を整理した。

「FDE検定」と検索すると、同じ名前の2つの制度が出てくる。一つはIoT検定制度委員会の「FDE検定制度」で、そのLevel 1が「FDE検定」と呼ばれている。もう一つは日本FDE協会の「FDE検定」で、5級から1級まである。どちらも2026年に始まった民間の制度で、運営も中身も違う。

FDE(Forward Deployed Engineer)は、顧客の現場に入り、業務の課題を見つけ、AIを使った仕組みを作って本番で動かすところまで受け持つ職種だ。職種そのものの説明はFDEとは?Forward Deployed Engineerの意味と仕事内容に、FDEになるための道筋はFDEになるには?に書いた。ここでは、2つの検定の公式ページに今何が書いてあるかを確かめ、受ける意味と、今できる準備を整理する。数字と日程は、2026年10月22日に公式ページを開いて確認したものだ。

「FDE検定」と呼ばれる2つの制度

先に全体を並べる。名前は似ているが、別の団体の別の制度だ。

FDE検定制度(Level 1がFDE検定)FDE検定
運営IoT検定制度委員会(運営事務局は株式会社サートプロ内)一般社団法人日本FDE協会
段階Level 1〜3の3段階(検定・認定・認証)5級〜1級の5段階
試験Level 1は60分・100問・4肢択一の予定試験形式は設計中
受験料Level 1は19,800円(税込)準備中
開始時期Level 1の本試験は2026年10月開始予定記載なし
公式ページIoT検定制度委員会日本FDE協会

試験の中身と受験料が決まっているのは、今のところIoT検定制度委員会のLevel 1だけだ。日本FDE協会の方は、等級の考え方は公開されているが、試験の形式と受験料は決まっていない。

IoT検定制度委員会のFDE検定(Level 1)の中身

IoT検定制度委員会は、2026年6月にFDE検定制度の構想を発表した。発表では、この制度は「AIを使える人」ではなく「AIエージェントを活用して業務成果を継続的に創出できる人」を評価すると説明している(2026年6月の発表)。2026年9月3日にはベータ試験の申込みを始め、Level 1試験のスキルマップ(ベータ版)を公開した。ベータ試験の受付は、すでに終わっている。

3つのレベル

制度は、知識を確かめる「検定」、実践の力を確かめる「認定」、成果を確かめる「認証」の3段階でできている。

レベル名前何を評価するか状況(公式ページ)
Level 1FDE-A Associate(FDE検定)FDEに必要な基礎知識と、業務課題へ応用する力2026年10月 本試験開始予定
Level 2FDE-P Professional(FDE認定)業務課題を整理し、AIやデジタル技術を現場で動く仕組みとして実装する力2026年第4四半期に認定内容を確定予定
Level 3FDE-C Consultant(FDE認証)現場実装で生み出した成果と、成果を組織へ定着・展開する力2027年第1〜第2四半期に詳細を公表予定

Level 2は、実務ケースや実践課題を通じて、課題設定から設計、実装、検証、説明までを確かめる方式を検討していると書いている。Level 3は、改善前後を示すデータや運用の証拠などの資料と、面談やプレゼンテーションを組み合わせた審査を検討中だ。どちらも、評価方法や費用はまだ決まっていない。

Level 1の試験概要

Level 1の公式ページにある試験概要を、そのまま表にした。「予定」と書かれた項目は、正式決定時に更新されるとページに書いてある。

項目公式ページの記載
正式名称FDEアソシエイト検定(FDE-A Associate)
本試験開始2026年10月開始予定。開始当初は週1回程度、将来的には毎日開催を予定。申込受付開始日と日程は後日発表
受験料19,800円(税込)
試験時間・問題数60分・100問・4肢択一を予定
実施方法オンライン試験監督型
受験資格特になし。前提資格もなし
合格基準後日発表
合格証明合格証明書はブロックチェーンで提供予定
有効期限現時点では有効期限なし

出題領域は4つある。FDEの基礎と役割(定義、価値、倫理、ステークホルダーとの協働)、ビジネス・業務理解(業務プロセス、課題設定、価値仮説、効果指標)、AI・データ・技術(生成AI、AIエージェント、データ活用、システム連携の基礎)、実装と運用の判断(適用可能性、セキュリティ、法務・倫理、リスク、継続改善)だ。学習教材として、公式ページには『日本流FDE 公式テキスト』と、全167問の『日本流FDE 問題集[Level1:基礎編]』が載っている。無料の模擬問題もある。

この制度の「FDE」の定義

読むときに一つ気をつけたいのは、FDEの定義だ。IoT検定制度委員会は、FDEを「日本の事情を加味して独自に定義」したと書き、FDEにおける「Engineer」はプログラミングを行う技術者に限らない、と説明している。

一方で、FDEという職種名を広めた海外のAI企業の求人は、コードを書くことを求めている。たとえばOpenAIの東京のFDEの求人は、試作から本番の展開までの技術的な納品を受け持ち、必要ならコードに直接手を入れることを求めている。私の見方では、この検定が測るのは「業務とAIをつなぐ人」としての知識で、海外の求人が求める「本番で動くものを自分で作る力」とは重なる部分と重ならない部分がある。

日本FDE協会のFDE検定の中身

日本FDE協会は、FDEのスキルを認定する民間検定としてFDE検定を掲げている。公式ページには、5つの等級の考え方が載っている。

等級呼び名対象と水準(公式ページの要約)
5級アシスタントFDEに興味を持った入門者。FDEの基礎知識とAI活用の基本的な考え方を理解している
4級オペレーターAI・ITツールを業務で使い始めた実務者。AIツールを業務に当てはめ、定型的な業務改善を行える
3級プラクティショナー顧客の現場で課題解決を実践するFDE。業務課題を特定し、AIや技術で解決策を設計・実装できる
2級シニア複数案件をリードするFDE。複雑なプロジェクトを主導し、組織的な業務変革を進められる
1級アーキテクトFDEの組織・制度を設計する人。FDE戦略の策定、人材育成体制の構築、事業全体のアーキテクチャ設計ができる

公式ページでは試験形式は設計中、受験料は準備中とされ、受験資格は等級ごとに設定予定で、飛び級や併願も検討中だという。ページは国家資格ではないと明記し、既存のIT資格を否定したり代わりになったりするものではないとしている。3級のサンプル問題と、約2分でできるスキル自己診断が公開されている。

FDE検定は受ける価値があるか

私の見方では、FDE検定は「FDEの仕事の地図を手に入れる」ためには使えるが、「FDEとして採用される」ための材料にはまだならない。理由は3つある。

  1. 始まったばかりで、合格者がまだいないか、いても少ない。採用する側が合格の意味を判断できる段階ではない
  2. このブログで確かめてきた各社のFDEの求人票に、これらの検定を応募の条件にしているものは見当たらない
  3. FDEの選考で問われるのは、現場で課題を見つけ、作り、数字を動かした経験だ。検定が今測れるのは、その手前の知識だ

それでも受ける意味がある人はいる。私の見方では、次の3つに当てはまる人だ。

当てはまる人受ける意味
営業・企画・業務改善の担当で、AIの導入を任された人業務、AI、リスクの論点を一通り押さえられる。社内で話す言葉がそろう
社内でAI推進の人を育てたい人事・管理職4つの出題領域を、育成の項目の下書きとして使える
エンジニアで、業務の側の論点に自信がない人課題設定や効果指標など、技術以外の領域の抜けが分かる

逆に、すでにFDEの選考を受けようとしているエンジニアは、検定の勉強より、今の仕事で一つ本番に出して数字を動かす経験を作る方が、応募の材料になると私は考えている。

今できる準備

本試験の申込受付はまだ始まっていない。待っている間にできる準備を、Level 1の出題領域ごとにまとめた。どれも、検定を受けるかどうかに関係なく、FDEの仕事にそのまま使える。

出題領域今できる準備手元に残るもの
FDEの基礎と役割FDEの定義を、IoT検定制度委員会の説明と海外の求人の両方で読み比べる自分が目指すFDE像の一文
ビジネス・業務理解自分の部署の業務を1つ選び、手順と時間、困りごとを書き出す業務の流れ図と、動かしたい数字(効果指標)の案
AI・データ・技術生成AIとAIエージェントで、その業務の一部を実際に試す試した結果と、うまくいかなかった理由のメモ
実装と運用の判断試した仕組みを本番で使うときの、情報の扱い・権限・誤答への備えを書くリスクと対策の一覧

4つ目の「実装と運用の判断」は、知識だけでは身につきにくい。AIを本番に出すときにどこで止まるかはAIのPoC止まりを抜け出すに、AIエージェントに持たせる権限の考え方はAIエージェントのセキュリティに書いた。面接で何を問われるかはFDEの面接対策にまとめてある。

試験の申込受付が始まったら、合格基準と再受験の条件を確かめてから申し込むとよい。Level 1は、現時点で申込後のキャンセルと日程変更ができないと公式ページに書いてある。

発注する側から見たFDE検定

AIの導入を外に頼む会社にとって、相手の担当者がFDE検定を持っているかどうかは、今のところ判断の材料になりにくい。私の見方では、確かめるべきは、提案した人が現場に入って作るか、本番で動いたものを見せられるか、どの数字に責任を持つかだ。選び方の基準はFDE支援会社の選び方に7つにまとめた。

社内でFDEの役割の人を育てたい場合は、検定の出題領域を育成項目の下書きにし、実際の業務で一つ本番に出すところまでを育成の範囲にすると、知識と経験の両方が残る。私たちがどこまで入って何を作るかはサービス詳細に書いた。

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