← ブログ一覧
セキュリティai導入aiツール

ChatGPT EnterpriseとBusinessの違い|管理とセキュリティ

ChatGPT EnterpriseとBusiness(旧Team)の違いを、OpenAIの公式ページで確かめた。料金、Enterpriseだけの管理機能、学習と保存、管理者が会話を見られる範囲、選び方と契約前の確認点を表にした。

ChatGPTを会社として契約するとき、候補になるのはBusinessとEnterpriseの2つだ。BusinessはChatGPT Teamと呼ばれていたプランで、OpenAIのヘルプによると、2025年8月29日にChatGPT Businessに名前が変わった。どちらも企業向けのプランで、ユーザー2名から使える。

この記事は、2026年10月25日時点のOpenAIの公式の料金ページ、ヘルプの「ChatGPT Business overview」、エンタープライズプライバシーのページを読み、2つのプランの違いを、料金、セキュリティと管理機能、データの扱い、選び方の順に整理する。ChatGPT・Gemini・Copilotの学習の設定を並べた比較は生成AIに学習させない設定に、同じ論点のClaude版はClaudeのセキュリティに書いた。

料金と申し込み方の違い

最初の違いは、誰がどう申し込むかだ。Businessは自分で申し込むセルフサービスのプランで、Enterpriseは営業に問い合わせて契約する。料金ページとヘルプから、契約の条件を並べるとこうなる。

項目BusinessEnterprise
申し込み方自分で申し込む(セルフサービス)営業に問い合わせる
想定する規模従業員数2〜200名のチーム向け大規模に事業を展開する企業向け
料金スタンダードシートは年払いで月20ドル、月払いで月25ドル。プレミアムシートは年払いで月100ドル、月払いで月125ドル公開されていない(カスタム価格設定)。クレジットベースとトークンベースの料金体系がある
契約の単位月額プランと年間プラン年間プラン
支払い主要なクレジットカード請求書の発行と請求管理、ボリューム割引

金額は米ドルで、ユーザー1人あたりの月額だ。ヘルプには、価格は国と通貨によって変わることがある、と書かれている。日本で契約するときの実際の請求額は、申し込みの画面か営業で確かめる必要がある。

Businessのシートは2種類ある。プレミアムシートはスタンダードシートの5倍の利用枠があり、5時間単位の利用上限がない。シートの種類は自由に組み合わせられ、ワークスペースには合わせて2つ以上のシートが要る。含まれる利用枠を超えた分は、ワークスペースのクレジットを買って使う。私の見方では、毎日長く使う数人だけをプレミアムシートにし、残りをスタンダードシートにすると、全員をプレミアムシートにするより費用を抑えられる。

見落としやすいのは、Businessで扱えない支払いの条件だ。ヘルプは、請求書払い、発注書、銀行振込、支払い条件(net terms)、Zero Data Retention、BAAが必要な場合は、セルフサービスのBusinessではなく契約型の提供(contracted offering)を使うよう案内している。経理の規程で請求書払いが前提になっている会社は、この時点でセルフサービスのBusinessが候補から外れる。

もう1つ、Businessの料金にAPIの利用は含まれない。ヘルプによると、APIは別料金だ。自社のシステムからモデルを呼び出す計画があるなら、ChatGPTのプランとは別に費用を見込む。

Enterpriseだけにあるセキュリティと管理機能

料金ページの機能の比較表では、次の項目はBusinessとEnterpriseの両方が「はい」になっている。SAML SSO、一元化された請求管理、専用ワークスペース、管理コンソール、メンバーの一括管理、管理者権限、SOC 2 Type 2のコンプライアンス、基本的なユーザー分析、ドメイン認証、アナリティクスダッシュボードだ。会社のIDでのサインインと、SOC 2 Type 2の監査は、Businessでも得られる。

違いは、Businessが「いいえ」でEnterpriseが「はい」の項目にある。同じ比較表の項目を、性質の近いものでまとめ直した。まとめ方と「何に効くか」の列は私の整理だ。

まとまりBusinessは「いいえ」、Enterpriseは「はい」の項目何に効くか
IDと権限SCIM、ロールベースのアクセス制御、きめ細かなGPTコントロールとグループ権限入社・退職・異動をIDの管理の仕組みから反映し、部署や役割ごとに使える機能を分ける
接続と鍵IP許可リスト、エンタープライズキー管理(EKM)、iOS用Intune決めたネットワークの外からの利用を止める。暗号化の鍵を自社で管理する。MicrosoftのIntuneでiOSのアプリを管理する
監査Compliance APIログプラットフォーム会話やGPTのログを、自社の監査や保管の仕組みに取り込む
データの置き場所データレジデンシー(米国、EU、英国、日本、カナダ、韓国、シンガポール、インド、オーストラリア、アラブ首長国連邦)データを保存する地域を選ぶ
第三者の認証ISO 27001、27017、27018、27701の認証取得取引先や社内の審査で、ISOの認証を条件にされたときの根拠になる
運用ブランド付きワークスペース、グローバル管理コンソール、コネクターレジストリ、ワークスペースの接続料金ページには項目名だけで、中身の説明はない。必要なら契約前に営業に確かめる
支援強化サポート、専任サポートによる導入支援、継続的なアカウント管理、カスタムセキュリティレビュー導入と、導入後のセキュリティの確認に、OpenAIの担当がつく

Enterpriseの料金ページには、ほかに年中無休の優先サポート、SLA、カスタムの法的条件、AIアドバイザーへのアクセスも並んでいる(対象となるお客様向けという注記つき)。私の見方では、契約の条件を自社に合わせたい法務の部門にとって、機能の差よりこちらが大きい。

セキュリティの外では、一度に扱える入力の長さにも差がある。比較表では、GPT Instantのコンテキストウィンドウの上限がBusinessは54K、Enterpriseは128Kで、GPTの推論のコンテキストウィンドウの上限は両方とも256Kだ。応答時間はBusinessが「高速」、Enterpriseが「最速」と書かれている。

判断を分けやすい4つの機能

私の見方では、この表の中で日本の会社の判断を分けやすいのは、SCIM、IP許可リスト、データレジデンシー、Compliance APIの4つだ。

SCIMは、Microsoft Entra IDやOktaのようなIDの管理の仕組みで行ったユーザーの追加と削除を、外部のサービスに自動で反映するための標準の仕組みだ。私の見方では、SCIMがないと、IDの管理の仕組みで退職者を止めても、ChatGPTのワークスペースのメンバーとシートは別に確かめる手順が要る。人の出入りが多い会社ほど、この手間とシートの消し忘れが効いてくる。

IP許可リストは、決めたIPアドレスからだけ使えるようにする機能だ。私物の端末や自宅のネットワークからの利用を、ChatGPTの設定の中で止められるのは、2つのプランのうちEnterpriseだけになる。

データレジデンシーの対象の地域には日本が含まれている。データを国内に置くことを社内規程や顧客との契約で決めている会社にとって、この条件に応えられるのは2つのプランのうちEnterpriseだ。

Compliance APIは、エンタープライズプライバシーのページによると、ワークスペースの管理者が会話やGPTの監査ログにアクセスするための仕組みだ。社内の監査やログの保管の仕組みにChatGPTの利用を載せたい場合に要る。

入力したデータの扱いと、管理者が見られる範囲

データの扱いは、2つのプランで共通の部分が多い。エンタープライズプライバシーのページ(2026年1月8日更新)から並べるとこうなる。

項目BusinessEnterprise
モデルの学習既定で使わない既定で使わない
入力と出力の権利お客様に帰属(法律で認められる範囲)同じ
暗号化保存時はAES-256、転送時はTLS 1.2以上同じ
保存期間管理者が保持期間を設定できる保持期間をお客様が管理できる(カスタムのデータ保持ポリシー)
削除した会話削除や未保存の会話は原則30日以内に削除法的義務がない限り30日以内に削除
管理者が見られるものワークスペース内のユーザーの会話履歴を閲覧・エクスポート・削除できるCompliance APIを通じて会話やGPTの監査ログにアクセスできる
データ処理補遺(DPA)締結できる締結できる

OpenAIは、BusinessとEnterpriseのビジネスデータ(入力と出力)について、所有権と管理権はお客様にあり、既定ではモデルの学習に使わないとしている。例外は、フィードバックの機能などで、利用者が明示的に共有に同意した場合だ。料金ページの個人向けのプラン(無料版、Go、Plus、Pro)の比較表では、学習への利用が「無効化可能」となっていて、利用者が自分で止める形になっている。ヘルプにも、BusinessはBusiness TermsとEnterprise Privacyのページのポリシーに従う、と書かれている。会社の契約のもとで使うか、個人の設定に任せるかの違いだ。

社員に先に伝えておくべきなのは、管理者が会話を見られることだ。Businessでも、ワークスペースの管理者はユーザーの会話履歴を閲覧し、エクスポートし、削除できる。私の見方では、これは利用規程に「会社の管理者は業務での会話を見られる」と書き、社員に事前に知らせておく事項だ。会社のアカウントで個人的な相談をしない、というルールも同じ場所に書ける。規程の条文の形は生成AIの社内利用規程の作り方に、ひな形と一緒に載せた。

社内のシステムとの連携(アプリ)についても、同じページに書かれている。使えるアプリは管理者が管理し、アプリは接続先の既存の権限を尊重し、各ユーザーは接続先で認証が必要になる。アプリを通したデータも、既定では学習に使わない。料金ページによると、Google Workspace、Slack、GitHub、Microsoft 365などとの連携はBusinessでも使える。どのアプリを許可するかは、プランを問わず最初に決めることになる。

BusinessとEnterpriseの選び方

ここまでの事実を、会社の条件ごとに並べ直した。条件の選び方は私の整理で、右の列は公式のページに書かれている根拠だ。

会社の条件向くプラン根拠
少人数ですぐに始めたいBusiness従業員数2〜200名のチーム向けで、自分で申し込める
クレジットカードで払えるBusiness主要なクレジットカードで購入できる
請求書払い・発注書・銀行振込が必要Enterpriseか契約型の提供セルフサービスのBusinessでは扱わない
入社・退職をIDの管理の仕組みから反映したいEnterpriseSCIMはBusinessが「いいえ」
部署や役割ごとに権限を分けたいEnterpriseロールベースのアクセス制御はBusinessが「いいえ」
決めたネットワークの外からの利用を止めたいEnterpriseIP許可リストはBusinessが「いいえ」
データを日本に保存したいEnterpriseデータレジデンシーはBusinessが「いいえ」
会話のログを監査の仕組みに取り込みたいEnterpriseCompliance APIはBusinessが「いいえ」
取引先の審査でISOの認証を求められるEnterpriseISO 27001などの認証取得はBusinessが「いいえ」
自社の条件に合わせた法的条件やSLAが要るEnterpriseEnterpriseの料金ページにカスタムの法的条件とSLAがある

私の見方では、上の2行だけに当てはまるならBusinessで足りる。3行目より下に1つでも当てはまるなら、Enterpriseの見積もりを取ってから決める方がよい。ヘルプも、より大きな導入や高度な管理が要るならEnterpriseを検討するよう書いている。

迷いやすいのは、いまは少人数でも、1年後に全社へ広げる計画がある場合だ。私の見方では、その場合も最初はBusinessで使われ方を確かめてよい。ただし、全社へ広げる時点で表の下の条件が必要になるかは、最初に情報システムと法務で確かめておく。後から条件が見つかると、プランの切り替えと社員への再案内が重なる。

契約の前に確かめること

プランを決めたあと、契約の前に確かめることを一覧にした。項目の選び方は私の整理だ。

#確かめること主に確かめる人
1日本で契約したときの請求額と通貨(価格は国と通貨で変わることがある)情報システム、経理
2支払いの方法(クレジットカードか請求書か)と、年払いか月払いか経理
3管理者が会話を見られることを、利用規程に書いて社員に知らせるか法務、人事
4会話の保存期間をどう設定するか情報システム、監査
5データ処理補遺(DPA)を結ぶか法務
6どのアプリ(社内システムとの連携)を許可するか情報システム
7APIを使う予定があるか(Businessの料金には含まれない)開発の部門
8個人のアカウントでのChatGPTの業務利用をどう扱うか情報システム、各部門

私の見方では、いちばん後回しにされやすいのは8だ。法人のプランを契約しても、社員が個人のアカウントで同じ作業を続ければ、ここまで見たBusinessやEnterpriseの約束はその利用には効かない。会社が把握していないAIの利用の考え方はシャドーAIとは?に、社内でどのAIが使われているかを調べる手順はシャドーAIの見つけ方に書いた。

プランの名前、料金、機能の一覧は変わることがある。実際に、TeamはBusinessに名前が変わった。この記事の内容は2026年10月25日に公式のページで確かめたもので、契約の時点では料金ページとヘルプを改めて確かめてほしい。AIの道具を選んだあと、現場の業務に組み込み、使われるところまで持っていく職種についてはFDEとはにまとめた。社内でChatGPTやほかのAIの道具がどう使われ、どう設定されているかを外から確かめたい場合の、私たちのAI利用セキュリティ診断の中身はサービスのページに書いた。

シェア

最初の2週間は無償で、業務とKPIを整理します

業務の棚卸し、KPIの設計、AIに任せる範囲の見極めまでを2週間で行います(月3社まで)。AI利用のセキュリティ診断のご相談も、同じ窓口で受けています。

無料相談を予約する

関連記事

← 新しい記事AIガードレールとは|LLMの入出力を守る仕組みと作り方